パニック症の発症から克服まで

自分は18歳の時にパニック症(パニック障害)と診断され、現在は幸いにもほぼ克服できました。そこで、克服までの道のりやパニック症を抱えている方へヒントを与える事ができればと思って記事を書きます。自分の経験と自分なりの考えですが、参考になれたら幸いです。

不安に襲われた日

あの日は忘れもしません。2012年3月2日の夕方の事でした。夕食前にリビングでテレビを見ているときでした。

たしか2日後に高校のスクーリングがあり、面倒だけど絶対に出ないと単位が取れないなと焦っていました。単位が取れなかったら1年やり直しになりますから、当時の自分としてはそれなりに切羽詰まっていました。当時の自分の価値観としては1年の出遅れは相当な痛手と思っていたのです。今思えばどうでもいいことなんですけどね。

不安の津波

そんなこんな思っていたときです。文字では表せないほどの大きな不安が襲ってきました。例えるなら”殺される寸前の人”が感じているそれといった所でしょうか。殺される寸前の人の気持ちは分かりませんが、それと同等の不安と恐怖を感じていると思います。

不安が不安を呼びますます不安が増大していきます。いてもたってもいられず、苦し紛れに廊下に出ました。軽い頭痛を伴いながら猛烈な不安に襲われ、足の裏が地に着いていないような感覚がします。それと同時に猛烈な閉塞感を感じ、これまた苦し紛れに家の外に出ました。

一向に不安は増すばかりで、頭痛薬を少し多めに飲んでみました。多少は誤魔化せたかもしれませんが、その後も不安の波にのまれていました。

トラウマ化

「いったいどうしてしまったのだろう。待てよ、この感覚は過去に何度か経験した事あるぞ。」授業か何かでスピーチをしたときや、授業中に同じような不安に襲われた経験があったのです。

しかしその時はその場限りで不安は治まっていました。そこで気づいたのです。不安がトラウマ化してしまったんだと。「また不安になったらどうしよう。」と不安になってしまう予期不安と呼ばれる症状です。

ほとんどの心療内科は1ヶ月待ち以上

一晩寝て次の日の朝起きたら、思いのほか頭はスッキリしていました。しかし、発作が起きた夕べの事を思い出したとたんにまた不安に襲われました。これはダメだと思って母親に心療内科に電話してもらったところ、1ヶ月以上待ちという所だらけでした。

さらに、20歳未満は診てくれないという謎ルールがある心療内科が結構あるんです。幸い少し遠いところで1件だけ3日後くらいに予約を取れるところがあり、藁にもすがる思いでそこを予約して行きました。

いざ心療内科へ

人生で初めて行った心療内科のロビーは患者が多く、常に会計待ちの人でいっぱいの総合病院のロビーと大差ありません。何より患者数の多さに驚きました。

初診だったので時間をたっぷりとってくれて色々と聞かれました。診てくれた先生は結構若い人で事務的な印象だったのが不安でした。当時の診断結果は「パニック障害」でした。
最近は「パニック症」に改名されたようですね。症状の程度は色々あるので厳密には障害とは言い切れず、患者への配慮もあり、「障害」から「症」になったそうです。

最初に処方された薬はパキシルのみでした。いわゆる選択的セロトニン再取り込み阻害薬というもので脳内のセロトニン濃度が下がらないようにする薬です。1週間飲みましたが、自分の場合は症状は全く改善しませんでしたし、副作用も全くありませんでした。

次に追加で処方されたのがコンスタンという薬でした。これはベンゾジアゼピン系の不安薬でこれは抜群に効きました。不安時に飲むのですが、30分後には不安はなくなります。副作用としては、少し注意力が鈍ることです。といってもそんなにひどい訳でもなく、寝起きにニュースを見ながらコーヒーを飲んでいるときの脳が目覚めきっていない時くらいの感覚です。

パニック症の症状

具体的にパニック症の症状を例に挙げます。

不安の発作

突然不安が発作的に襲われます。タイミングは様々で、小さな不安を感じてそのまま大きな不安になって発作というパターンや、何の前触れもなく不安発作が起こることもあります。人によっては発作が起きやすい時間帯があったり、季節の変わり目悪天候時などに発作が起こる可能性が高まります。

予期不安

不安の発作は恐ろしいものです。自分の意思とは関係なく、生物としての根本的な機能である恐怖が暴走するのですから。「また不安になるかもしれない」と不安に対して不安になることが予期不安です。

広場恐怖

広場恐怖というと広い場所というようなイメージで語弊がありますが、正確には「逃げる事ができない場所での恐怖」といいましょうか。

例えば、エレベーターの中、レジの行列、人ごみ、高速道路、渋滞など、直ぐに逃げられないと感じると不安が起こり、そのまま発作に陥るというパターンが多いです。それを予期不安することで広場(逃げられない場所)に恐怖を抱くのです。

抑うつ感

不安に支配されている状態では全ての行動に制約がかかり、不自由を味わいます。なんで普通にできないんだろうと憂うつになります。

 

そのうちに調子がいい時までも、どうせ直ぐに不安になるというのになんで調子良くなってるんだろうなどと思うようになってしまいこともあります。調べてみると、パニック症はうつ病も一緒に発症するケースが割りとあるようです。

自分の場合はひどい時は抑うつ感はありましたが、幸いうつ病までには至りませんでした。

パニック症の原因は?

パニック症の不安発作が起きる前の生活習慣を振り返ってみると、不摂生をしていることを思い出しました。


当時、通信制高校に通っていた自分は2週に1回のペースでしか通学がなく昼間は殆ど引きこもりでした。当時やっていたバイトは夜勤だったので夜遅くまで起きて、昼間はろくに太陽の光を浴びないという毎日。食生活はファーストフードやジャンクフードばかりを食べていました。不安発作が起こった当時は2週間ほど晴れ間がなかったため、様々な要因が重なってしまったんだなと思っています。

心療内科の先生に患者数は増えているのかと聞いてみた所、やはり年々増えているらしく先生曰く「ストレスの多い社会だからね」との事。しかしこの答えには違和感を感じました。なぜならストレスの感じ方は相対的なもので、なんだかんだいつの時代もストレスの相対量は同じだと思うのです。しかし患者は順調に増えている。これは何か根本の原因があるのでは無いかと思いました。

その後、栄養学に詳しい方と話す機会があり、近年の栄養事情を教えていただいた際に、鬱などの精神疾患は栄養失調が原因である可能性が高いという話を聞きました。

パニック症を患う前の生活を振り返ってみて確信しました。確かに栄養失調だったと。しかも運動不足だったし日光も不足していた。

本来人間の体というのは自律的に正常に動作するように設計されています。なので、ある日とつぜん精神だけが壊れてしまうなんて事はまず無いはずです。人間に何らかの不具合が起こる際は殆どが外的要因によるものであり、外的要因としては遺伝や過度なストレス、以外と盲点かもしれませんが栄養失調も大きいのです。

克服できました

同じくパニック症を患っている人に「パニック症って良くなるの?」と聞かれたことがあったので自信を持って答えましょう。良くなります。

治ると言い切りはしません。というのも治る治らないの定義が難しいのです。自分は一度、パニック発作という恐怖を覚えてしまった以上、ある一定の負荷が掛かれば不安の波に飲み込まれると思います。いわゆるトラウマ状態ですが、トラウマが病気かと言ったら、そうでない場合もあるしPTSDと呼ばれる場合もあります。要は程度の問題なのです。パニック症では不安発作の程度を軽くし、病気でないレベルにまで回復する事が克服するという事ではないかと思っています。

今の自分にはパニック症になる以前の自分より不安の耐性が上がっている自信があります。RPGで例えるならば、毒を食らっている状態がパニック症にかかった初期の頃だとしたら、今の自分は体力の最大値が上がった状態とでもいいましょうか。さらに不安に対処するスキルまで備わっています。

何度も何度もパニック発作を食らっているとだんだん対処が分かってくるのです。そこで自分なりの対処法を書きたいと思います。やっている事はものすごく簡単ですので、「そんなの気休め以上の効果ねえよ」と思うかもしれませんが(自分も当時不安の対処法をググリながらそう思っていた)とにかく参考にしてください。

症状を認める

自分がパニック症と診断された当時は、自分がパニック症であることを疑っていました。頭では分かっているつもりでも心の底から信じられず、自分に限ってそんな事はないというバイアスが中々取れなかったのです。その状態では「自分はパニック症ではない」という理想と、パニック発作に襲われる現実とのギャップによって余計に辛い思いをしてしまい、一向に良くなりません。

克服に一歩近づくためには、まず自分がパニック症であることを認め、自分を労わってあげましょう。

栄養を取る・生活習慣を正す・運動習慣を付ける

精神的な不具合は基本的には自律神経の乱れであり、乱れには全て原因があります。先に挙げた栄養失調、日光不足、運動不足、睡眠不足、生活習慣の乱れなどですが、自分の環境を思い返してみてください。ちゃんとご飯は食べていますか?運動はしていますか?

パニック症に限らず、心を病んでいる方には絶対に不摂生があると思います。

自分は以下の事を実践してみました。

  • 起きる時間、寝る時間、食事を取る時間を大まかに決める
  • 栄養をバランスよく取る(食欲がない場合はサプリメントなどを利用する)
  • 朝起きたら太陽光を浴びる。
  • 運動をする(軽いウォーキングで十分)
  • 無理しない

以上のことだけ意識するだけでずいぶんと心が楽になります。「そんなの気休めだろう」と思うかもしれませんがこれが本当なんです。これを実践して調子よくなった経験から、いかに不摂生にやられていたのかが良く分かりました。

不安・ストレスを遠ざける

もし明確な不安やストレスがある場合は、遠ざける努力をしましょう。

極端な例ですが、仕事が辛いなら仕事を辞めるとか。人付き合いがストレスなら人付き合いを避けるとか。ストレスの貯蓄量が多いと不安の耐性も下がります。ともかく不安を根本から避ける事は重要です。なぜなら、不安は真っ向から立ち向かっても敵わないようにできているからです。世の中の全ての生物は不安によって危険を回避し、今を生きています。不安に敵わないのは当たり前なのです。

パニック症というのはその不安という機能が正常に動作しなくなった状態ですので、不安を真っ向から相手にするよりも逃げる方向に努力をした方が賢明です。

もし不安発作中に入ってしまった場合は、不安から逃げる事はできません。辛いでしょうけどコンスタンなどとんぷくの薬を飲んで発作がおさまるまでじっと耐えましょう。
それでもネガティブになる必要はありません。今回はだめだったけど次発作が起こりそうな時に遠ざけてやろうと思ってください。

呼吸で自律神経をコントロール

人間は交感神経と副交感神経を意識的にコントロールすることはできませんが、唯一間接的にコントロールできる要素があります。それは呼吸です。

息を吸うときに交感神経が働き、息を吐くときに副交感神経が働きます。
余談ですが「ため息」は副交感神経を刺激させてリラックスするために無意識に行う脊椎動物特有の行動です。うちの犬もため息をつきます。

不安を感じているときは呼吸が浅く速くなっているはずです。複式呼吸だの難しい事は言いませんので、呼吸は穏やかに深くゆっくりする事を意識しましょう。

呼吸を意識的にコントロールすれば、交感神経と副交感神経を間接的にコントロールでき、また間接的に心もコントロールする事ができるのです。そこまで至るのには熟練が必要ですが不可能ではありません。

最後に

自分はパニック症と診断されたあの日からそろそろ7年たちます。これだけの年数抱えていると、もう不安に慣れてしまうものです。

ここまでいったら発作になるなという限界点が分かり、それを前提にした行動を取る事ができます。初期の不安では呼吸をコントロールすることで抑える事ができるようになりましたし、発作中に抑えられるくらいまで不安のコントロールが上達しました。最初の頃は「どうしようかどうしよう」と不安に流されるままで、初期の小さな不安ですら恐ろしかったものですが、今では「ああこれなら大丈夫」くらいしか思わなくなりました。

何もかも手探りで、コツなどはありませんが、パニック症と向き合い正しく付き合っていくことで、ここまで克服できるということを言っておきます。

自分はパニック症に感謝している部分もあります。パニック症のおかげで色々な経験をしましたし、価値観も広がり、不安のコントロールの術を学びました。おそらくパニック症を経験していなかったらもっとポンコツな人間だったに違いありません。もしかしたら、あの頃のポンコツな自分への贈り物だったのかもしれません。

ここまで一患者の例ではありますが、こんな人もいるよと思っていただければこの記事を書いた甲斐があります。

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