プリウスを初めとしたPHEV車に搭載される例のシフトレバーですが、インターフェイス的な問題点が多々あるように思われます。その問題点についていくつか挙げてみます。

5MTのバックのポジションにDがある

一般的な5MTのシフトレバー
例のシフトレバー

基本的な5速マニュアル車では右下にRが設定されている事が殆どですが、例のシフトレバーには右下にDが設定されています。

マニュアルに慣れている高齢の方はふとした瞬間にマニュアル車のRレンジ感覚でDレンジに入れてしまい、前進して突っ込んでしまうということでしょうか。自分は免許を取って以来、主に5MTの車しか乗っていない為かプリウスのシフトレバーには強い違和感があります。

ブレーキを踏まなくてもD・Rレンジに入る

多くのAT車はフェイルセーフの考えによってブレーキを踏んでいる間でないと、DとRレンジに入らないように設計されています。

プリウスもブレーキを踏まないとDに入らないようにはなっていますが、一度NにしてからD・Rに入れるとブレーキを踏むことなくD・Rレンジに入ってしまうという”仕様”があります。Nレンジはシフトレバーを横に1秒程度動かすだけで簡単になってしまいます。

シフトレバーが戻ってしまうため直感的に現在のレンジが分からない

Nに入ったら分かるだろうと思うでしょうけど、例のシフトノブは動かすと元の位置に戻ってしまうのです。現在何レンジに入っているかはディスプレイに視線を移して目視で確認しなくてはなりません。

多くのAT車やMTではシフトレバーに触れただけで何に入っているかが分かりますが、この手のシフトレバーの場合はディスプレイを必ず確認しなければなりません。「今Rレンジに入っているだろう」と直感で操作すると、記憶違いで実はDレンジに入っていてそのままドーンということになりかねません。

Rレンジは音が鳴りますが、認知機能が衰えている運転手は音が鳴っていても認知できなかったりそもそも聞こえていなかったりすることがあります。健康な若い人でも例外ではなく、寝不足や疲れから認知機能が落ちていると高齢者と同じようなミスを起こしかねません。

エンジン音や振動などの情報が得られない

PHEV車の場合、出だしはエンジンが動いていないので音や振動が全くありません。

何らかの拍子でNになり、発進しようとアクセルを踏み込んでもエンジン音が無いので空ぶかし状態に気づかず、その状態のまま「あ、Nだった」とDレンジに入れると急発進してしまいます。

新しいタイプのプリウスではNでアクセルオンにすると警告が表示されるようです。が、認知機能の落ちた方がその警告を認知して対処できるかは疑問です。例えば、警告画面を見て焦りながらアクセルオンのままDレンジに入れて急発進ということになりかねないでしょう。

アクセルオンのままNレンジからD・Rレンジに入ってしまう仕様は欠陥としかいいようがありません。殆どのトラディショナルなAT車はNレンジで空ぶかしすることは可能ですが、PHEV車のような新しい車でNでアクセルオンの状態は全く無意味で異常な状態ですのでNレンジからD・Rレンジにチェンジする際はアクセルオフであることを条件に設定するだけでだいぶ事故のリスクを減らせると思います。

B?バック?

あまり関係ないかと思いますが、B(Brake)という表現がBackと被っていて適切ではないと思います。今までの多くのシフトパターンがDより低いギアをLと表現をしていた流れを汲み取ってLの方が良いと思うのですが。