キャンプ場で警官が「危ないもの持ってない?」銃刀法で検挙された話

ライフ 登山・キャンプ 0 Takuya Kobayashi

昨今のキャンプブームによって、キャンパーの人口が増えつつあります。中にはナイフを使ったブッシュクラフトをしてみたいと思う人も増えてきていると思います。しかし、ナイフの取り扱いには注意が必要です。

この前こんなことがありました。

なぜこうなったか経緯を話しますと・・・

3連休で友達とキャンプに行く予定があり、キャンプの2日前に時間があいたので、今のうちに準備をしておこうということで、車にキャンプ道具一式を載せました。

その時にナイフも車に載せてしまっていました・・・

そのまま買い出しに行ってしまい、ついでに散歩をしようとキャンプ場が併設されている自然公園の駐車場に車を止めると、数分後にパトカーが近づいてきて、警官が二人降りてきました。隣には乗用車が止まっていたのになぜ真っ先に自分の車へ来るんだろう・・・

後で思ったのですが、自分の車はRV車なのでアタリを付けて来たのでしょうか。

職質される

警官Aの第一声が「危ないもの持ってない?」その時一瞬ナイフが頭をよぎり、一瞬だけ口ごもってしまいました。警官Aがリアゲートに近づき「開けていい?」自分は無言でリアゲートを開けました。

ナイフが見つかる

当然ナイフが見つかり「これ何」という話になり、メジャーで刃渡りを測られ、業務または正当な理由が無ければ銃刀法に抵触すると言われました。自分は明後日キャンプする予定があり、事前に準備をしていた旨を話すと、「それ今じゃないよね」と言い返されました。確かに今じゃないからその通りです。

そして、警官Aが「君は危ないものは無い?って言ったら”ありません”って言ったよね?」と自分が嘘をついたかのように言われました。自分は口ごもっただけです。これはマズいと思い、もう一人の警官Bに目をやると「君は、危ないもの無い?と聞かれて一瞬だけ口ごもったの」と助け船を出してくれました。

署で事情聴取

幸い逮捕にはならず、署に行って事情聴取という話になりました。都合のいい日を聞かれましたが、後日になると長引くと言われ、早く終わらせたいのでその時に行くことにしました。後から知ったのですが、在宅事件になった時点で長引くのは決まった事でした。(3ヶ月かかりました)パトカーの後をついていって署へ。生活安全課の取り調べ室に通されました。被疑者を見る警察官の目は、半数が冷たい目で、半数が無関心です。

4時間にわたって色々と聞かれました。自分の供述のもとに警官Aにより「弁解録取書」と、警官Bにより「身上調査書」が作成されました。他人を傷つける為に持っていたのかと疑いをかけられたり、キャンプでナイフなんて必要ないだろうとか教養のない事を言われましたが、自分は反省していて誠実な態度で臨んだので、調書には反省している旨の文章を書いてくれました。

何人かの警察官が「食料はありましたか?」と言っていたのが聞こえたので、おそらく、食糧があるか否かで正当な理由になる可能性もあるのでは。

自分が職質を受けた場所は、地元のボーイスカウトが使用しているキャンプ場の駐車場でもありました。そのキャンプ場は一般には貸し出しがされてない旨が書かれており、そのことについても雑談だと思いながら警官と話したのですが、その内容も調書にしっかりと書かれてしまいました。”私はそこのキャンプ場は貸し出されていないことを知っていた”と。逮捕はされなかったので黙秘権の説明は調書を取る直前でしたが、警官に職質を受けた時点で言動には気を付けなければなりません。

別の警察官に「もう懲りたろ」と言われ、ナイフの所有権は放棄しました。持ってたら捕まるモノなんて持つ意味ありません。

その後、警官Bに連れられ、別室にて身長を測られDNAと指紋を取られ、待ち時間に警官Bと本当なら親しい人にしかできないような身の上話をして時間をつぶしました。ここまで洗いざらい喋ったらもう友達みたいなもんです。この時にはもう最初に声を掛けられた時と全く違う口調になっています。

一通り取り調べが終わったので、あとは書類を検察に送検するので、もしかしたらまた呼び出すことがあるかもしれないですが、出来る限りそうならないように処理をしておきますと言われました。最初は威圧的だったのに、調べが終わったとたんに事務的になりました。

その日は身元引受人になってくれた親に迎えに来てもらい、解放されました。

3週間後に警察所から連絡

一か所だけ誤字の訂正があるため、私印を押してほしいとのことで、警察署へ行って私印を押してきました。その時、犯行も認めているし、特に厳重な処分を求めているわけではないが、法律に違反している事は間違いないので気を付けていただきたいと言われました。

事件から2ヶ月後、検察庁からの電話

事件から2ヶ月後に検察庁から出頭の日程調整の電話がありました。翌週に出頭する事になりました。

検察庁に出頭

約束の当日、検察庁某支部へ行きました。建物は無機質で飾り気のない鉄筋コンクリートでまるで豆腐のような建物でした。受付で名前を言い、待合室で待つこと10分ほど。若い検察事務官の方が来て、取調室に通されました。

「失礼します」と入ると、飛沫防止の透明カーテンの奥から検察官の方がジッと自分の事を見ています。その目は普通の人の目ではありませんでした。この場所で何人もの被疑者を来る日も来る日も見ているのでしょう。なんだか心の奥まで見透かされているような感じがしました。しかし、自分には何もやましいことは無いので、自分をさらけ出す気持ちで挑みました。

最初に検察は警察とは別の組織であるという説明や黙秘権等の説明をした後、本題が始まりました。警察で聞かれたこととほぼ同じことが聞かれました。ただ、さすが検察、指摘が鋭く的確な印象でした。検察官が自分の証言を代弁し、自分の横にいる検察事務官がその証言を文字起こしする。出来上がった調書を改めて読み上げ、サインと印鑑を押す。

最後に、他のキャンプ仲間がナイフを持っていなかったということと、世間一般的に考えてナイフを持っていることはおかしいということで、正当な目的が無いとして起訴だと軽く言われました。そして、略式と正式な裁判があってどちらか選ぶ権利はありますが、略式の方が小林さんにとっても負担が少なくていいと思いますと言われ、自分は略式を選びました。もし罰金30万だとしても弁護士費用や時間や手間を考えると、それでも略式の方が負担は軽いです。略式命令の書類にサインして印鑑を押しました。

この後、書類を裁判官に見てもらい、罰金の金額を決めてもらうとのこと。参考までにということで罰金額の目安を教えてくれました。銃刀法の場合、多くの場合が10万~20万円になるとのこと。もし罰金を支払わないで期限を過ぎた場合、払う意思がないとして刑務所に入る手続きを始めてしまうと念を押されました。もし支払えない場合は、問い合わせればある程度融通を利かせてくれるらしいです。

1週間後に簡易裁判所から起訴状が届く

検察で取り調べを受けた2週間後に簡易裁判所から起訴状が書留で届きました。ドキドキしながら開封したところ、罰金額は10万円でした。額に少し安心しました。ちなみに刑事事件において罰金額の最低額は10万円と相場が決まっているそうです。

1週間後に検察から納付告知書が届く

簡易裁判所からの起訴状が届いてから更に1週間後に検察からの納付告知書が書留で届きました。すぐに10万円と納付告知書を持って近所の郵便局へ支払いに行きました。(こういうものは銀行の方が処理が早いかもしれません。)

まとめ

・銃刀法の在宅事件は一連の刑事手続きが完了するまで3ヶ月かかった
・検挙されてから検察に呼ばれるまで2ヶ月かかった
・身柄が拘束されていなければ報道されることはない(個人の銃刀法くらいではメディアも取り上げない)

検挙されてから罰金を納付するまで一連の手続きが完了するまで約3ヶ月かかりました。ナイフを所持している動機や使い道が明らかなので大丈夫かと思っていましたが、残念ながら今回の結果は略式起訴となってしまい、10万円の罰金になりました。多分弁護士をつければ結果は変わっていたと思いますが・・・

追記:”正当な理由”の証明は難しい場合がある

今回の件は自分が悪かったのですが、改めて考えてみると”正当な理由”を客観的に証明するということは難しい場合もあります。

”正当な理由”を説明できればナイフを持っても問題ないはずですが、警察官は職業柄「こいつは悪い奴かもしれない」と疑う方向のバイアスが強い傾向にあり、中には出世のために検挙数を稼ぎたいという気持ちを持つ人もいるかもしれません。
そんな彼らが”正当な理由”であるか否かを検挙の際に判断しているということを考慮しなくてはなりません。

もし仮に、自分が本当に悪い奴で悪用しようと思って所持していたとしましょう。職質の際に「これからキャンプ行くからナイフを持っている」と言い逃れできてしまったらそれはおかしいですよね。
逆に言うと、これからキャンプに行くためナイフを持っているということをその場で証明することは難しいのです。
キャンプ場などを予約しているのであれば、事実が客観的に記録されているので問題にならないと思いますが、河川敷や借りている私有地などでキャンプをするといった場合は、”正当な理由”の証明は難しくなります。「自分はそんな経験がないから大丈夫だ」という方は、まだ職務質問の対象に選ばれていないだけで、警察官に不信と思われたら「とりあえず職質して銃刀法で挙げてみるか」となってしまう可能性があります。

本来ナイフは非合法なアイテムであります。”正当な理由”を常に裏付けとともに完璧に説明できるとは限らないので、ナイフを持つことはリスクを持つことだと自分は思いました。
自分はこの一件からナイフを捨てました。

コロナ過でキャンプブームが加速している昨今ですが、自分の二の舞にならないように気を付けてほしいと思います。一番ありえそうな例として、キャンプ帰りに疲れからナイフを下ろし忘れたという場合でも、運悪く職質をされたら自分のように検挙される可能性があります。ナイフは非合法アイテムであることを肝に銘じ、最後まで気を抜かないで取り扱いましょう。

もし、あなたが執行猶予をもらって真面目に人生をやり直している方だとしたら猶更気を付けていただきたい。このようなつまらない事でも執行猶予が取り消され、実刑をもらう事になってしまう可能性があります。本当に気を付けてください。

自分が伝えたいことは以上です。

https://note.com/takuyakobayashi/n/n9af0ddb38e69

--
以上