画像生成AIの台頭によるイラストレーターの転機

その他 0 Takuya Kobayashi

最近では画像生成AIによってイラストレーターの仕事を奪うのではないかという問題が挙がってきています。
イラストレーターに限らず、プログラミングや音楽分野でも同様の事が起こっており、人が頭で考えることは全てAIで出来てしまう未来が近づいているように思います。

画像生成AIは、ほとんどの場合、他人の著作物を学習して出力しているため、学習データに含まれるオリジナルに似せたものを出力できる場合があるため、著作権の問題をはじめとするさまざまな意見が対立しています。
また、人間が膨大な時間をかけて習得したスキルであるにも関わらず、AIがたったの数分で同じクオリティのものを出力してしまうという事に嫌悪感を抱いている人も多いようです。

AIによる学習が著作権に違反するのであれば、人間が他者の作品にインスピレーションを受けることも疑問視されるべきでしょうか。現実的には創作は常に何かしらのインスピレーションから生まれるものであり、完全なオリジナリティは存在しないでしょう。

新しいテクノロジーに脅かされるという恐怖については、歴史を見ると繰り返されてきたものであることが分かります。

  1. ラッダイト運動:19世紀初頭のイギリスで、機械化による仕事の自動化や労働条件の悪化に反対して、手作業の織物産業労働者たちが機械を破壊するなどの抵抗運動を行いました。彼らは新しいテクノロジーによって仕事が奪われ、生活が困窮していくことを恐れたのです。
  2. 自動車革命の抵抗:自動車の普及に伴い、馬車業や鉄道業など従来の交通手段に従事していた人々が経済的困窮に直面しました。特にタクシーや配車業者などの職業が変化し、収入が減少したため、新しいテクノロジーへの反発が生じました。
  3. デジタル革命の影響:コンピュータやインターネットの普及により、多くの産業や職種が変革を余儀なくされました。一部の職業は自動化され、労働者の雇用やスキルの価値が変化しました。この変革によって、デジタル格差や雇用不安などの社会的問題が浮き彫りになりました。

いつの時代も適応と淘汰を繰り返して今に至ります。現在のAI分野は黎明期であり、潮目の変わる瞬間であるため反発などが起きやすいのだと考えられます。

画像生成AIは平均的なモノや文脈的に尖ったものを出力することは得意ですが、人間の創作力には敵わないでしょう。なぜなら、AIはあくまで人間が作ったものを学習しているだけであり、独創性や新しい価値観などを持つことはありません。

例えば無名の絵師が鳥山明の絵を忠実に描いたとしても、その絵は鳥山明の絵と同じ価値を持つわけではありません。
人間の評価基準では、出力結果そのものだけでなく、ブランドや背景にあるストーリーに共感して価値を感じるものです。

AIは、あくまでプログラムされたアルゴリズムによって学習と出力を行うため、絵師たちが持つクリエイティブな能力や感性を完全に再現することはできません。また、絵師たちが持つ独自性や個性、感情表現などは、AIによる生成には欠ける場合があります。

そのため、AIによる生成には限界があり、絵師たちが持つ価値を完全に置き換えることはできません。むしろ、AIが生成した絵をもとに、絵師たちがアレンジや加工を行い、新たな表現やアイデアを生み出せると考えられます。

結論としては絵師たちが持つクリエイティブな能力や感性はAIが置き換えることはできないため、絵師たちが持つ独自性や個性、感情表現などが求められる分野においては、絵師たちの存在は重要な役割を果たすことになるでしょう。

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AIと人間の将来について蛇足:

AIが人間の思考を完全に代替できる世界においては、”ブランド”、”カリスマ性”、”スピリチュアル”など、人間に固有の価値観がますます重要視されると考えます。一方で、肉体を使うスポーツ・武道やアウトドアアクティビティなどは、人間にとって特別な娯楽として今後も継続するでしょう。

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以上